ENTRY

PROJECT STORY 1

建築家と施主の想いを、実現できる計画に。
「ハニヤスの家」に見る、創造系不動産の伴走力。

敷地の土を生かしながら、既存の母屋と増築部を組み合わせ、生活と芸術が一体となる住まいを形にした「ハニヤスの家」。実現の背景にあったのは、住宅ローンや法規、所有関係といった論点を整理するだけでなく、建築家・施主が土地に込めた想いや活動の背景まで丁寧に汲み取り、関係者へ伝えながら伴走した創造系不動産の存在です。そんな創造系ならではの関わり方について聞きました。

桝永絵理子さん(建築家・施主)

建築とプロダクトを分けずに捉え、領域横断で設計に取り組むデザインチーム「AATISMO」の共同主宰。「土地」と「人」の個性を生かした建築に関心を持ち、住宅にとどまらず、宿泊施設やレストランなど、より開かれた建築にも挑戦したいと考えている。

海老塚 啓太さん(建築家・デザイナー・施主)

桝永さん同様、AATISMOを共同主宰し、建築家・デザイナーとして活動。図面化や実施設計だけでなく、素材や工法も含めて検討しながら、コンセプトを丁寧に空間へ落とし込むプロセスが特徴。ハニヤスの家では、初期から設計の核を形づくってきた。

川原聡史(創造系不動産)

不動産・ファイナンスの側面から、建築家や施主のプロジェクトを支援。住宅ローンの組成、論点整理、法規や所有関係の確認、金融機関との調整などを担う。

――まず、このプロジェクトはどのように始まったのでしょうか。

海老塚さん「ハニヤスの家」の計画自体は、かなり早い段階から動いていました。最初の1年ほどで設計の大枠はできていたものの、確認申請や施工者探し、資金のことが重なり、完成までには3年ほど時間がかかっています。

桝永さん川原さんにご相談したのは、設計がある程度まとまり、資金調達が大きな課題として見えてきたタイミングでした。住宅ローンをどう組めばいいのか、そもそも何から考えればいいのかも分からなくて。だからこそ、信頼できるプロの方にお願いしようと決めました。ちなみに、川原さんとは共通の友人がおり、そのつながりで知り合いました。以前から展示や活動の場でも関わりがあり、ずっと私たちの活動を応援してくださっていた印象があります。

川原さん計画のアイデアを拝見したとき、これはすごい作品だと思いました。ただ今回のようなケースって、実は一般的な不動産会社が関わることは少ないんです。というのも、もともとご家族が所有している資産を活用する計画で、新たに土地を売買する案件ではなかったからです。

とはいえ、建築を実現するには「住宅ローンを組めるのか」「法規上問題がないか」「所有関係をどう整理するか」といった論点が出てきます。そうした相談ができる枠組み自体が、世の中にはあまりないんですよね。なので最初は、住宅ローンの仕組みに乗せて進めるとしたら、どこが論点になるのかを明確にするところから入りました。

――創造系不動産が関わったことで、よかったと感じた場面はありましたか?

桝永さん「建築費を全体としてどのくらいに定めるか」について、初期段階からアドバイスをいただけたのは大きかったです。そこが定まっていないと、ローン計画だけでなく、施工者との見積もり調整や設計の進め方までぶれてしまうので、大変助かりました。

海老塚さん最初は、融資の相談先として当たった銀行から次々に「難しい」と言われて、かなり絶望していました。そんな中、銀行を何行も一緒に回っていただけたのは心強かったですね。メッセンジャーでもこまめに状況を共有してくださって。「川原さんがいたら大丈夫だな」と思えるようになったんです。そこからは、設計に集中しやすくなりました。

桝永さん設計をしていると、ふと資金のことやローンのことが頭をよぎるんです。でも、ちょうどそのタイミングで川原さんからメッセージが来たりする(笑)。「プロジェクトがちゃんと進んでいる」と思えるだけで、安心感がまったく違いましたし、すごく助かりましたね。

川原さん正直、最初にお話を聞いたときは実現できるか五分五分くらいかと思っていました。でも、確認申請を取って進める前提がすでにあり、法規の整理もある程度進んでいた。それを見て、「住宅ローンの枠組みの中でも実現の道筋をつくれるかもしれない」と確信したんです。

――今回のプロジェクトを通して見えた、創造系不動産の強みは何だと思いますか。

桝永さんやっぱり大きいのは、こちらが知らない領域の知識を持っていることです。それだけでなく、こちらの事情や想いも理解したうえで相談に乗ってくれる。ただ事務的に仕事を進めるのではなく、プロジェクト全体を見ながら関わってくれるところが頼りになりました。

海老塚さん僕も、それは強く感じました。銀行に対しても、「単に書類を出して終わり」ではなくて、僕たちの活動や建築の背景まで熱量を持って伝えてくださったんです。だからこそ、銀行側にも前向きに動いてもらえたのだと思います。

▲ワンチームで実現した住まい

川原さん僕はいつも、「金融機関の方とも仲間意識をつくりたい」と思って動いています。もちろん、「無理やり融資を通そうとする」ということではありません。何が論点で、どうすれば前に進めるのかを共有しながら、同じ方向を向けると強いんです。関係者みんながワンチームになれたらいいな、と。

桝永さんファイナンスや根回しはもちろんですけど、それだけではないですよね。私たちの展示やプロダクトづくりも含めて、活動全体を応援してくれている感覚がある。人とのつながりもつくってくれるし、何かあれば声をかけてくれる。そんな親身な伴走も、すごくありがたかったです。

川原さん僕らは融資そのものを担う立場ではなく、直接できることには限りがあります。 だからこそ、人と人をつなぐ役割はすごく大事だと思っています。誰かと誰かをつなぎ、プロジェクトの可能性が広がる。それも、僕らの価値の一つかなと思っています。

――今回のプロジェクトを通しての学びはありましたか。

川原さん僕にとっては、古い建物をどう活かしていくかという意味で大きな学びがありました。一般的には難しいと思われがちな案件でも、条件を丁寧に整理していけば、住宅ローンを活用しながら実現の可能性を探れることがある。その実感を持てたのは大きかったですね。

桝永さんこうした、資金調達や住宅ローンの組み方が大きな鍵になるプロジェクトほど、なるべく早い段階で創造系不動産さんに入ってもらうことが大事だと感じました。設計がある程度進んだ段階でお金の目処が立たなくなると、設計そのものが意味を失ってしまうこともある。それは建築家にとっても、施主さんにとっても、大きな損失だと思います。

海老塚さん今回のプロジェクトを経て、土地や住む人の個性を生かす建築にも挑戦したいと思うようになりました。住宅だけでなく、宿泊施設やレストランのような、もう少し開かれた建築にも領域を広げていきたいです。その際は、また創造系不動産さんに伴走していただけたら嬉しいですね。

建築家からのコメント

「相談できる人がそばにいる」というのはすごく心強かったです。自分たちが知らない領域の知識を持っていて、しかもこちらの事情も踏まえて相談に乗ってくれる。そんな存在がいることで、安心してプロジェクトを進められました。今後も、何かあったらすぐにお声がけさせてください!

前の記事 一覧に戻る